2018年度9月よりルンド大学に留学中の都市環境システム工学専攻修士1年生、尾﨑慎一君(水圏環境工学研究室)にインタビューを行いました。
Q 今回ルンド大学に来ようと思った主な理由があったら教えてください。
A 最初にダブルディグリープログラムに興味を持ったのは、1年次の時に広城先生の授業でダブルディグリープログラムの説明が一度あって、その時にこんなプログラムがあるのかと思って興味を持ったのが最初です。
その後、2年、3年と専門の授業を受けて、特に水資源分野に興味を持つようになり、研究室は広城先生の研究室を志望して、今そこに所属しています。その中で元DDP経験者の大橋先輩から直接いろいろなお話をお聞きする機会があって、いろいろお話を聞いている中ですごく良いプログラムだなと思って、「行きたい」と思うようになりました。
Q 今ルンドの方にすでに来られていますが、こちらでの研究や勉強について、簡単にどういうことをやっているのかを教えてください。
A 今は授業がメインになっていて、今春学期の途中なのですが、大体1学期に3つから4つの授業を受けています。今3つ授業を受けていて、1つは座学中心の授業なのですが、もう1つは、実際にパソコンのプログラムなどを使ってデータを解析するという授業をやっています。その授業では4つの課題があって、毎回レポートを出すのですが、コンサルタントの技術者としてのレポートの書き方なども一緒に習ったりしながら、あとはグループワークなので、いろいろな学生と一緒に共同でレポートを進めています。
もう1つ別の授業では、ディスカッションを主にしていて、先生方からの質問に対して学生同士でディスカッションしたり、また学生と先生とのディスカッションなども通しながら知識を身につけています。
Q このダブルディグリープログラムに参加する上で、必要な語学力のレベルはどの程度あれば良いか、経験上どういう風に考えているのか教えて下さい。
A 語学力に関しては、最初に8月末にルンドに来たときは、なかなか周りの会話が聞き取れずについていけないということも多くあって、まず必要なのはリスニングが必要だと思います。周りの英語、大事な情報もあるのでそれを聞き取れるだけの英語が必要になってくると思います。なかなかTOEICやTOEFLとは違った分野になってくるので、最初はどちらかというと、日常会話や実際に使うような英語のリスニング能力が必要かなと思います。
また、ディスカッションの時間もあるので、自分の意見を伝えるというのはすごく大事なので、実際にしゃべる練習というのは必要になってくると思います。
Q 生活面についてお伺いします。日本とずいぶん違うところがあると思いますが、今寮に住んでいると伺っていますが、例えば寮の雰囲気やそういったところで大きく違うところがあれば教えてください。
A 寮はコリドーと言われる寮に住んでいて、大体1フロアに10人の学生が住んでいます。僕が住んでいるところは駅から近くて、あとは修士の学生が多いので、比較的静かな環境だと思います。
その中で、一人ひとりの部屋があって、大きなキッチンが共同であるという形になっていて、晩御飯を料理するときには、いろいろな人が一緒に料理している中で、しゃべったりしながら、たまに料理の交換とかもしながら生活をしています。
少し大変だと思うのは、掃除で国ごとによってある程度綺麗さのレベルが少し違ってくるので、たまにそういったところで問題になったりすることがありますが、ある程度のレベルのルールを決めて、それを守りながら生活しています。
Q 自炊をしているということでしたが、日本食を作ることはできますか?
A アジア系の調味料とか食材を扱っている店がいくつかあって、そこで醤油やみりん、米なども買えたりするので、ご飯も自分で炊くことができます。
Q その他に、このダブルディグリープログラムに参加されて、その経験を通じて身につくと思われる能力はどういうものがあるか教えてください。
A 授業の中でインターナショナルな話が多くて、先生方の中でもアジア・中国で働いた経験があるとか、ヨーロッパやアフリカ、中東などで働いたことがあるという人が多くて、その経験を授業中に話してくださったりするので、そういった中でそういった場面でどういう風に行動すればよいのかという知識や経験なども学ぶことができると思います。
また、授業の中で、実際にグループを組んで「国際問題に自分たちならどうアプローチするか」という授業があって、その中でディスカッションもたくさんしなくてはいけなくて、自分の意見をどう伝えるかというところだったり、共同作業の中でどういう風に進めていくかというところも学べるのではないかと思います。
Q 今同じコースで勉強している学生の中で、スウェーデンの人以外ではどういった国の人たちがいるのですか?
A 多いのは中国の人ですが、中国、インドネシア、アジアではイラン、韓国の人もいました。あとは南アフリカ、スリランカもいて、ヨーロッパの人も多くて、ドイツとスペイン、ジョージアもいました。今学期からはアメリカからの留学生も増えていて、いろいろな国から来ている感じです。
Q 途上国だけではなくて欧米からも、本当に世界中からという感じですね。
A そうですね。
Q このダブルディグリープログラムですが、どういった人が向いているのかを、今までこちらに来て経験した上で感じていることがあれば教えてください。
A やはり真新しいことばかりで、毎日新しいことがどんどん出てくるので、そういった新しいことを楽しめる人にはすごく向いていると思います。
あとは、生活の中で締めつけというものが比較的少なくて、日本に比べると少しゆるいというところもあるので、そういった中で自分を律して努力し続けられる人も向いているのではないかと思います。
Q 最後になりますが、今ダブルディグリープログラムに参加しようかどうかと考えている学生に向けて、メッセージをお願いします。
A DDPプログラムはまだ僕も半年しか経験していませんが、それでもすごく日本ではできない素晴らしい経験ができていると思っています。3年、1年半ルンドで過ごして九大で1年半過ごすということで、1年間卒業は遅れますが、その分それ以上に素晴らしい経験ができると思うので、興味のある人はぜひチャレンジしてみてください。
学生の声
大橋 宜紘 君 (都市環境システム工学専攻)[2015年8月~ 2017年1月]
ルンド大学はとてもインターナショナルな大学で、文字通り全世界から多くの留学生が集まっています。よって水資源工学の知識、英語力向上に加えて多様な文化と交流する機会が多くあります。海外留学、英語力向上に関して少しでも興味があるならトライして後悔はないと思います。
園田 彩乃 さん (海洋システム工学専攻)[2016年8月 ~ 2018年1月]
日本では決して経験できない、大変貴重で、充実した時間を過ごしています。言葉も満足に通じない環境の中、時には辛いこともありますが、自分自身の確かな成長を実感することができます。また、世界中に友達ができ、スウェーデンだけでなく様々な国の文化に触れることができます。
西田 浩清 君 (建設システム工学専攻)[2017年8月 ~ 2019年1月]
ルンド大学では、PBL型授業や議論などのアウトプットを積極的に行うため、水に関してより深い知識を得ることができました。日本での研究活動もある程度損なわず、長期留学できるのは大きなメリットだと思います。苦労することもありましたが、充実した1年半を過ごしました。このチャンスを逃す手はないと思います!
一口メモ
2010年からスタートしたこのプログラムは、2019年4月現在で合計8名の派遣実績があります。また、修了した学生は、以下の企業に就職、あるいは内定を受けています。
・三井物産株式会社 ・東洋エンジニアリング株式会社 ・日本工営株式会社 ・東京電力ホールディングス株式会社
・東京ガス株式会社 ・一般財団法人日本気象協会